質問
年間監査スケジュールの終わりの方に「開示チェック」という表現があるのですが、具体的にどのようなチェックをするのでしょうか?
回答
財務諸表に表示されている項目が正しいかどうかをチェックするために、以下の手続を実施します。
- BS、PLの基礎となる試算表や組替表を、BS、PLと突合して勘定科目や金額が一致していることを確かめる。
- 注記の基礎資料(一株あたり情報や関係会社に対する債権債務など)と財務諸表の注記を突合して一致を確かめる。
- 開示のチェックリストを使い、財務報告の枠組みに照らして不足している事項がないか検討する。
開示チェックはアナログ作業で時間がかかる。
開示チェックとは、最終的に監査報告書が添付される財務諸表が、適用される財務報告の枠組みの観点から正しく作成されているかチェックをする作業のことをいいます。
監査を受けている=財務諸表が外部に公表される可能性1があるため、監査人としては「自分たちが見つけられなかった間違いを外部から指摘されることは避けたい」等の思惑から、かなり細かくチェックをします2。
特に時間がかかるのは、修正版が提出された際に想定外の修正が入っていないか改めてチェックをする作業です。初版で誤りが見つかり修正版を受け取った際、修正版の修正箇所を確認することはもちろんのこと、修正版の修正箇所以外の部分に変更がないことも確かめます。この作業を多くの場合紙面で行うので3、アナログかつマニュアル作業となり時間がかかるケースが多いです。
監査済みの会社資料と財務諸表の突合を行い、記載事項が正しいことを確かめる
まずは4監査人がチェック済みの「試算表」や「組替表5」及び注記の基礎資料を、財務諸表と突合します。
また、前年度の情報が記載される場合6や、前年度の記載から変更する必要がない場合7には、前年度の財務諸表との突合も行います。
開示チェックリストを使い、記載事項に漏れがないか確かめる
残念ながら一般に公表されておらず会計士しか見ることができませんが、JICPA8の中小事務所等施策調査会は、公認会計士向けに開示のチェックリストを作成しています。監査人はこのチェックリストを用いて記載事項に漏れがないかチェックを行います。
かなりボリュームのあるチェックリストで、例えば「計算書類のチェックリスト」(個別のみで連結は含まない)はWordファイルで32ページ、146のチェック項目で構成されています9。各チェック項目は根拠となる法令や会計基準等が示されており、チェックリストを潰すことで財務諸表の記載に漏れがないか検討できます。
- 上場会社であればEDINETで誰でも見られる状態にありますし、非公開会社で監査を必要としているということは銀行や投資ファンド等の株主・債権者に公開されることが想定されます。
- 人によりますが、てにをはの修正を求めるレベルで細かくチェックするケースもあります
- PDFデータでチェックする場合もありますが、作業量的には紙面で行うのと大差ありません。
- 次の開示チェックリストによる検証と並行して実施される場合もありますが、説明の便宜上こちらを先に実施することとしています。実務的には、開示チェックの担当者が複数人いれば並行して行い、1人で行う場合にはこちらの作業を先にすることが多いと思いです。
- 試算表の項目を財務諸表の開示項目に合わせて再集計した資料。
- EDINETに提出される有価証券報告書等の金商法をもとに作成される場合。それ以外で前年度の情報が記載されるのは稀です。
- 会計方針や、各注記の文章記述(金融商品注記のリスクに関する記載など)などは、変更がないことも多く、前年度の財務諸表との称号でチェックを済ませることは多いです
- 日本公認会計士協会。
- チェックリストを潰すのはそれなりに時間がかかる上に地味な作業なのですが、個人的には開示について勉強もできてお得な手続だと感じています。

コメント