質問
公認会計士から、倉庫の棚卸に『立会』(たちあい)をする予定であると連絡を受けました。棚卸の立会とは何でしょうか?具体的にどんなことをするのでしょうか?
回答
実地棚卸の立会とは、会社が行う棚卸の状況を監査人がチェックすることです。主に以下の手続が行われます。
- 棚卸資産のテスト・カウント(現物を実査し数を数える)する。
- 棚卸が社内規則やマニュアルを遵守して行っているか観察する。
- 棚卸の結果を信頼できるかチェックする。
立会とは何か
会社が行う棚卸の現場に監査人が訪問し、棚卸の状況をチェックすることを実地棚卸の立会といいます。一般的には立会(たちあい)と略されて表現されます。
経営者が実施する棚卸資産の実地棚卸に関連する監査手続で以下の手続を含む。
監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」|日本公認会計士協会
・棚卸資産の実在性を確かめ、かつ、状態を評価するために棚卸資産を実査し、テスト・カウントを実施すること
・実地棚卸結果を記録して管理するために、経営者が定めた指示と手続の実施に関する遵守状況を観察すること
・実施されている棚卸手続の信頼性に関する監査証拠を入手すること
なお、コロナ以降はリモート棚卸立会の実施方法が周知され、監査人が現場訪問せずに立会を実施することも実務として定着しつつあります。
この記事で紹介する内容は、監査人が現場訪問することを前提としています。
会社が監査人に対して提出するもの
以下のような資料を求められることが多いので、事前に準備をしておくとスムーズかと思います。
- 棚卸に関する社内規則やマニュアル
- 立会を実施する倉庫・工場のロケーション図、マップ
- 棚卸資産の一覧や棚卸リスト
棚卸資産の実査、テスト・カウントを実施する
監査人は棚卸の現場を訪問し、①棚卸資産の状態を確かめるために実査し、②会社の記録と照合するためのテスト・カウント(数量を計測すること)を行います。
実査、テスト・カウントをする棚卸資産は、事前に「棚卸資産一覧」等のリストから選定するものと、棚卸現場でランダムに選定するものを組み合わせることが一般的です。いくつチェックするかは監査法人の方針によります。
(実査)
実際に棚卸資産の現物を手に取り、品質が劣化していないか、陳腐化していないかなどの状態をチェックします。品質劣化や陳腐化が認められる場合には、会社の棚卸で識別されているか、最終的な棚卸資産の評価に反映されているかを確かめます。
例えば、生鮮食品であれば腐っていないか、製品を構成するネジ(材料)や出荷前の製品であれば破損していないか、などをチェックします。
(テスト・カウント)
棚卸資産の数量を実際に数えます。
例えば、出荷前の車(製品)であれば台数を数えます。ネジ等の細かい部材については重量で数えるケースもあります(明らかに不合理でない限り会社の方針でカウントをします)。
テスト・カウントの結果は会社の記録と照合し、会社の計数が正しく行われていること、帳簿に計数結果が反映されていることを確かめます。
棚卸が社内規則やマニュアルを遵守して行っているか観察する
監査人は、棚卸に関する社内規則やマニュアル等のルールを理解し、実際に棚卸が行われている現場でルールが運用されているか観察します。
例えば、現場を観察することで以下の事項をチェックします。
- 棚卸の実施範囲(漏れなくダブりなく実施されているか、除外品は明示されているか、など)
- 計数の方法(数か量か、1人で数えるか二人一組で行うか、など)
- 棚札を利用する場合の棚札の管理方法(記載方法、破損や書き損じをした場合の取り扱い、など)
- 棚卸結果の集計方法(棚札やリストは漏れなく回収されているか、品質劣化の状況は正しく伝わっているか、など)
ルールと異なる運用が行われていることを発見した場合、監査人は運用の誤りを会社に報告した上で、全体として棚卸が適切に実施されていたかどうかを検討することになります。
棚卸の結果を信頼できるかチェックする
棚卸の結果が帳簿に正しく反映されているか確認をします。概ね以下のように検討が行われます。
- 最終的な「棚卸資産明細」等の棚卸資産の一覧(品目、数量、単価、帳簿価額、などの情報が一覧にされている表)を入手し、明細の合計額と試算表の棚卸資産残高との一致を確かめる。不一致の場合にはどのような調整が行われているか会社に質問をする。
- 監査人のテスト・カウント結果が「棚卸資産明細」の数量と一致していることを確かめる。不一致の場合にはその原因を調査する(棚卸後の入出庫状況、複数ロケーションに分散している場合には立会未実施場所の棚札の閲覧、など)。監査人がテスト・カウントをした物品に関する会社側の計測結果(棚札等)を閲覧する場合もある。
- 監査人が実査により把握した品質劣化・陳腐化等の状況が、「棚卸資産明細」の帳簿価額に反映されていることを確かめる。反映されていない場合にはその原因を調査する。
その他の手続
(外部保管在庫)
外部の倉庫に保管され、入出庫の管理も第三者(倉庫会社)が行っているような場合には、立会を行わずに倉庫会社に対して「確認」を行う場合があります。この場合には、倉庫会社から監査人に棚卸結果を回答することとなります。
(担保に供されている場合)
棚卸資産の一部が担保に供されている場合には、他の関係者(銀行などの借入先)に対して「確認」を行う場合があります。この場合には、確認先から担保に供されている額や範囲(◯◯工場保管分、など)が監査人に回答されます。

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