質問
今年度から初めて監査を受けますが、監査人から提示された監査報酬が高いのか安いのかわかりません。監査報酬とはどのように決まるのでしょうか?妥当な水準はあるのでしょうか?
回答
多くの場合、監査報酬は監査に要する時間数(日数)で決まります。
日本公認会計士協会は毎年監査実施状況調査を公表しており、これを見ると監査の種類・会社の規模ごとの報酬水準が分かります。
監査報酬は監査に要する時間数(日数)で決まる
監査を実施する監査法人(又は個人の公認会計士)に対して支払う報酬を監査報酬といいます。日本公認会計士協会(JICPA)が定める倫理規則では、専門業務の内容や価値に基づいた報酬を請求することを求めています(倫理規則21条)。特に他の監査法人等から顧客をとる営業目的で異常に安い報酬を提示することは暗に否定されています(倫理規則注解18)。
監査報酬は監査に要する時間数(日数)で決まります。つまり、【誰が】【何時間(何日)】働くかを基準に決まります。
【誰が】に関しては、担当する者の職階や経験年数により変わります。個人あたりの単価は各監査法人で自由に決められます(これに関する統計情報は私の知りうる限り公開されていません)。
【何時間(何日)】に関しては、会社の規模や複雑性をもとに監査人の独断と偏見過去の経験や他社の水準をもとに決定します。通常、監査初年度は会社の基本的な事項をゼロから理解しないといけないため時間数は多くなります。2年目以降は事業環境が大きく変わっていない限り前年の理解を更新すれば足りるため、その分時間数は減る傾向にあります。
余談:大手監査法人ではAIを用いた監査を実施しているようですが、その分の報酬はどのように反映されているのか不明です。AIの稼働時間なのか、人間の報酬に追加しているのか……非常に気になります。
監査報酬に関する統計として監査実施状況調査が公表されている
JICPAでは毎年監査実施状況調査(リンク先は2021年度版)を公表しています。監査実施状況調査では、監査区分(金商法、会社法、学校法人、医療法人……などなど)ごとに1監査対象あたりの平均人数、平均監査時間、平均監査報酬が、売上規模別(金商法・会社法ではさらに業種別も!)に公表されています。
金商法監査は「財務諸表監査+内部統制監査」の報酬が合算されているため注意する必要がありますが、監査実施状況調査を見て他社水準と比較することで、監査報酬をふっかけられていないかが妥当な水準であるかある程度見極められます。
補足:監査に要する「経費」をどこまで負担するか
旅費交通費や紙面印刷のための紙代、プリンターインク代等、監査には諸々の経費がかかります。この経費をどちらが負担するかは監査契約書で明記されます。
経費負担についての統計情報は、私の知りうる限り公表されていません。各監査法人の方針や、監査業務ごとに決定されていると思います。
私の経験した範囲では、
・全て会社負担
・旅費交通費のうち出張(往査場所が監査法人の所在地から◯◯◯km超離れている場合)に係る経費は会社負担
・東京都内の旅費交通費以外は会社負担
などがありました。

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